2008.09.08
【小説】 独白するユニバーサル横メルカトル 【平山夢明】
![]() | 独白するユニバーサル横メルカトル (2006/08/22) 平山 夢明 商品詳細を見る |
独白する
ユニバーサル
横メルカトル
平 山 夢 明 短 編 集
平山夢明
『C10H14N2(ニコチン)の少年−乞食と老婆』
凄い変な話。ていうか意味が分からない。
童話調で、少年と乞食のほのぼの話かと思ったが、全然。ドッキリですよ。これは。
なんだろうかと思って、検索した。それによると
グリム童話の「こじきばあさん」にインスパイアされたとか。
こっちも分からないw
『Ω(オメガ)の聖餐(せいさん)』オススメ
死体を処理する人物の世話をすることとなった。
その人物は、死体を食って処理をしていた。
グロいのか、かわいいのか分かんないです。僕には。
頭のいいやつの脳みそ食って、頭よくなるって何?
『無垢の祈り』
みんなを殺して!
呼んだ?
で、おなじみのキラーマン登場
(そんな奴いねえよ)
なんか、変な話
『オペラントの肖像』オススメ
条件付き(オペラント)によって制御された社会。
その世界では、芸術は人を堕落させるものとして禁じられていた。
そのため芸術により堕落する堕術者を取り締まる【オペラント】。
それに従事する主人公。父も優秀な【オペラント】であった。
だが主人公は父が堕術者であったことを知る。
ラストのオチが半ば強引な気もするが、あっと驚く+ちょっと怖いがあるので、面白い。
『卵男(エッグマン)』
ショートショートみたいな話。
牢獄にいる男。
隣にいる205号の囚人と、何とか会話をしていたが・・・
主人公は死刑執行まで、囚人の精神安定させるため開発されたロボットに過ぎなかった。
『すさまじき熱帯』
確かに、暑さとかねとねと感とか、ねちゃねちゃ感とか、あります。
ジャングルに入り込んだ主人公たちと、奇怪な集団の抗争
元自衛官で、このジャングルのボスの暗殺を目指して忍び込んだものの、
逆につかまって、ワニの餌になるところを逃れる。
ボスは、死んで腐ってるのに、やつらはそれを持ち上げて、御輿上げてる。
その描写は生々しいが、ワニに食われるシーンはB級グロ映画のソレ。
多分、コメディとしてのノリでみたほうが無難な気がする作品。
『独白するユニバーサル横メルカトル』オススメ
比喩でもなんでもなく、実はそのままのタイトル。
ユニバーサル横メルカトル図法で書かれた地図の独白で綴られている。
地図が、人間みたいにしゃべっているという、おそらくはそのままの情景。
地図は、ご主人のタクシー運転手の殺人と、死体を埋める場所を指し示したりと主人に尽くす。
そして、埋めるたびに増える×印。それは地図にとっては喜び。
だが、ある日ご主人は死んでしまう。そして、地図を継承されたのは、その息子。
だが、息子もおかしなやつで、地図の×印をめぐって、死体を掘り出しては、
近場に埋めるという奇行を続ける。
人間の皮膚の上に地図を描くとか、それに元の地図は嫉妬するとか。
まあ、普通に読んでも到底理解できないような展開が続き、
終いには、穴に落ちてジエンド。独白する地図、何もしゃべらないご主人。
このひとつ矛盾し、両者が転倒した奇妙さを描いている。
『怪物のような顔(フェース)の女と溶けた時計のような頭(おつむ)の男』オススメ
拷問なんか死刑執行人なのか、わからないが、
ソレを行う主人公のもとにやってきた、怪物のような顔の女
『13』にやたらと拘る。彼にとっては儀式なのだそうだ。
グロテスクな描写は、もはやここまで来れば、聞き流せるようになるが、
それでも、ちょっと嫌だね。露骨なものではないけど、
淡々と指を切断したり、叩き潰したり、切断面を焼いたり・・・・。
主人公の精神的な混乱なのかな、
失踪した母親の声が聞こえたり、、頭だけが床から生えていたり・・・
主人公の精神的なヤバさはもちろん、仕事もそうだし、行動もおかしい。
最後に、女は実はお前の娘だったんだよ、という言葉を信じて、
彼は自分の死を受け入れることになる。
平山夢明の意味不明さ、グロさ、気味悪さ、みたいなものは、なんなんだろうか。
読める人には読めるんだろうけど、難易度は恐ろしく高い。
読む人を選ぶ。
結構期待して読んだけど、決して自分好みではないかも。
部分部分で言えば、すごく面白いような気もするが、全体として自分のなのでのパンチ力、
というより、そもそもお話として面白いとかを感じなかったので、直接的な面白さというものは感じなかった。
そもそも、これはホラーというよりもグロだ。
上で、オススメって書いてるけど、決して安易な気持ちで見ないほうがいいですよ。
自分が敢えて選ぶなら、ってことで書いてますから。
2008.09.06
【小説】 蒼穹の昴 【浅田次郎】
![]() | 蒼穹の昴〈上〉 (1996/04) 浅田 次郎 商品詳細を見る |
蒼穹の昴
浅田次郎
清朝末期の百日維新(戊戌の政変)を描いた大作
完全な史実というよりもフィクションを入れた娯楽小説という見方のほうがいい。
三国志という歴史書に対する三国志演義みたいな立ち位置かな。
とはいうものの、やはりかなり史実としても面白いと思います。
まず、科挙制度と呼ばれる中国で伝統的に行われていた部分は、多分その当時のものをできるだけ忠実に書いているはずで、勉強になります。
科挙っていうのは、今で言う公務員試験みたいなもの。
いくつもの段階があって、より優秀な人が選りすぐられていくようなシステム。
主人公のひとり、梁文秀の目を通して、当時の人々の科挙に対する気持ちや反応などを見ることが出来ます。
これに合格するために人生を振ってることなんてのもザラだったみたいです。
今の受験戦争の比ではなかったかもしれませんね。なにせ、町をあげて受験に送るみたいなことだったらしいですし。
しかも4年に一度しかなく、落ちたときの衝撃は相当のものだったでしょうね。
いやはや、官僚になるにも相当めんどくさいものがあったようです。
逆に、そういう中にいるから、選民的な思想も無理もないですね。
梁文秀って、恐らく架空の人物になるんだけど、ぐいぐい歴史に食い込んでくるので、本当の人なのかとずっと思ってました。
モデルの人はいるみたいですが、ここはフィクションみたいです。
もう一人の主人公は、李春雲という人物。こちらも恐らく架空。
上であげた梁文秀とは幼い頃からの親しい仲です。
梁文秀がそれなりにいい家である一方で、彼は糞を拾って生計を立てるというどん底の貧乏でした。
しかし、彼を救った言葉が白太太という星占いの予言でした。
要約すると、すげー偉くなって、富をすべて手に入れるとか何とか。
彼は貧乏を脱出するために、運命をも跳ね除けながら、努力していきます。
まあ、あまりネタバレとかするのも、
偶然、ここに覗きに来た人に申し訳ないのでこれ以上は言えませんが、
全部通して、凄く面白い。
浅田次郎を全く読んだことないですが、いやーここまでよく書ける人だと感心しました。
今まで読んでこなかったの失礼でしたね。
まあ、この作品は浅田次郎の最高傑作と言っているのも頷ける。
まず、この時代を書こうと思った時点で、うれしいですね。
明治維新というのは著作が多いですが、こういった中国のこの時代の変革時期の小説って、
あんまし触れられてない気がするんですよね。
あったとしても、孫文とか毛沢東とかくらいですよね。
百日維新後じゃないかな、大体。そこを敢えて持ってくるところが、素晴らしい。
自分はこういうの好きで、こういう時期のを小説以外で見てきましたが、やっぱ変革の時代って面白いね。
百日維新はたった100日で維新しちゃうんじゃなくて、100日で失敗に終わるって意味です。
普通は成功して、華々しく終わり。単純なハッピーエンドじゃない。
だけど、その当時の彼らはどう考え、そしてその後に何を遺していくのか、
そういう部分が浅田さんの見方としても非常に面白かった。
西太后は悪女みたいなイメージあったし、そのほかの人物もやっぱり、漠然と滅びるも者として馬鹿にしていたけど、
結構優秀だったように書かれている。
当時の見方を劇的に(というのは大げさだが)変えてくれる素敵な本でした。
(ま、フィクションですけどね)
ちなみに、孫文(孫中山)は、名前だけ出てきますし、
毛沢東も一応出てきます。
2008.09.01
【小説】 時をかける少女 【筒井康隆】
![]() | 時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫) (2006/05/25) 筒井 康隆 商品詳細を見る |
時をかける少女
筒井康隆
『時をかける少女』+他2編(『悪夢の真相』、『果てしなき多元宇宙』)
言わずと知れた、時をかける少女の原作
映画などでは見ていましたが、今まで読んできてなかったので、今回読んでみました。
凄い薄いので、小休憩んも合間くらいで読めます。
基本的にジュブナイル小説なので、テイスト的には中学生くらいが読みやすい感じ。
映画は俺のアンテナにあまり来なかったのだが、小説は純粋に面白かった。
というか、よくあのおっさんがこういうの書けるなぁ、と感心する(失礼;)。
SF的な要素は軽めで、藤子F先生ではないが、少し(S)不思議(F)な程度。
ただ、完成度は高くて、SF的な物語の入門的な内容には最適かもしれない。
内容は映画での展開とそう変わらない。
まあ確かに映像化してみたい内容であるなぁと感じる。
なんか適度な長さでまとまりがいいしね。
ラベンダーの香りと共に、時間跳躍(タイムリープ)っていうのは映画で見ていたが、
改めて、その発明(といっていいのか)は天才的な要素があると思った。
ネタバレなんだけど、主人公は最終的に記憶がなくなる。
でも香りは体(鼻?)が覚えていて、すごくいい設定だと思う。
身体移動(テレポテーション)
というのが、時間跳躍とともにでてくるが、確かにこれを同時に使わないと、
いろいろ考えると可笑しな話になるんですよね。
時間を過去に戻すとして、空間を移動しなければ、
例えば地球の自転や公転から、宇宙に飛び出てしまう可能性もあるわけで、
そういうことをなくすためには身体移動は必須なんですね。
少し勉強になった(笑)
他の2編は
可もなく不可もなく。
まさにジュブナイル小説!って感じです。
※
『タイムリープ』という「時かけ」のオマージュみたいなライトノベルがあるんだけど、
俺は高校くらいに読んで、そっから本読み始めたくらいなので、「時かけ」自体にも思い入れがあった。
それで、ずっと読もう読もうと思ってきたんだが、今ようやく読んだか・・・という感じ。
てか、なんで今まで読まなかったのか・・・
俺は、ああいう時間跳躍モノは大好きなはずで、この作品は読むべきなはずなのに。
ま、もう読んだからいいか。
(多分、映画が個人的にガッカリだったんだな・・・)
2008.08.03
僧正殺人事件 [ヴァン・ダイン]
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僧正殺人事件(The Bishop Murder Case)
ヴァン・ダイン
ここでいう僧正とは、チェスのビショップを表している。
僧正と頭についているからといって、早まってはいけない。
坊さんが殺される話ではないのだ。
東野圭吾が、鑑賞というよくわからない位置であとがき?として、最後に感想を書いているのだが、
「僕は坊さんが殺される話だと思っていたよハハハ」(雰囲気)みたいなノリで書いていたのが印象的(笑)
その中で驚いたことに東野さんは、『僧正〜』を今まで読んでいなかったらしい。
まあ、小説家だからって、何でもかんでも読めるわけではないということだろう。
僧正殺人はチェスのビショップを意味するもので、重要な意味を持っているかのようにしているが、
このミステリで重要な役割を果たすのは、チェスと言うよりも寧ろ、マザーグースという童謡を用いた見立殺人のほうだろう。
東野さんも実はマザーグースを取り扱った『白馬山荘殺人事件』というのを書いてあるそうだが、
これはもちろん『僧正〜』をモチーフにしたものではなく、完全なる偶然だそうだ。
正直、マザーグースは知らないので、ピンと来るものはなかったのだが、
西洋ではかなり知られていて、よく使われているものらしく、面白いのかもしれない。
ミステリに関しては王道で、意地悪な部分は一切ない。
純粋なミステリを楽しむには素晴らしい小説であることに疑いはない。
探偵役はファイロ・ヴァンス。アマチュア探偵だそうだ。
彼の慎重且つ冷静な分析と、知識の豊富さなどは、探偵役として必要十分なもの。
科学的哲学的、あるいは心理学的な描写は彼を知的な存在として見せるための要素として、
折を見てでてくるが、事件にとって必ずしも必要な解釈ではないように思えたが、
それもくどくはなく楽しめる範囲だった。
本格ミステリと言うのだろうか、
ヴァンダイン自体が純粋なミステリを好む人らしく、
アガサクリスティの『アクロイド殺し』を酷評したとか、しないとか(ウィキペディア)
確かに、言うだけあって、純粋な部分しかないけど、ミステリの面白さ=謎解きとしての魅力はある。
見立の動機がユーモアと言われても・・・な部分もあるが、
それはその人物の背景を考えると、
凡人では解釈しようもない心の動きがあったと思うしかないし、そうすべきだろう。
だが、それら以上に凄く印象的だったのは、
探偵役が最後に犯人を殺してしまったと言う事実だ。
といっても露骨に殺したのではなく、
犯人がある人物に飲ませようとして用意した毒入りのグラスを、入れ替えて犯人を死なせたのだ。
犯人の自業自得の面も否定し得ないが、殺した事実は変わらない。
それは証拠がなく、どうしても犯人として立証できないというところからの、殺人であった。
結局自殺ということになったけど、この結末は相当酷いものである。
別に怒りを感じるとか、はないけど、
さすがに純粋なミステリとして、こういうオチってアリになっちゃうの?と感じずにはいられない。
2008.08.01
黄金虫 [エドガー・アラン・ポー]
![]() | 黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇 (岩波文庫) (2006/04) ポオ 商品詳細を見る |
エドガー・アラン・ポー(ポオ)の短編集
全部は読まなかったが、一部だけ。
「アッシャー家の崩壊」は、以前読んだ。
「メッツェンガーシュタイン」
恐怖もの。正直意味がよく分からなかった。
馬というのがキーになっていて、炎の中に主人もろとも突っ込むシーンはホラーだ。
2つの家の長年の争いが、怨念に近い存在になって、家を襲う恐怖なのかな、と思う。
「息の紛失」
息を失った男・欠息(ラックオブレス)氏の話。息が出来ないから、当然声も出せない。
でも色々不幸に会いながら、途中では解剖されながら、それでも死ななくて、
首つるされて、墓埋められるという明らかにコメディなノリの展開が続く。
ラストでは満息(ウインドイナフ)氏に息をもらって、墓から脱出する。
これはナンセンス(意味のない状態)ではなく、
ノンセンス(意味を無化する方法)な短編らしいです・・・
目の付け所が違うなぁとおもった一篇
「赤死病の仮面」
赤死病は恐ろしい疫病であり、感染するとものの半時間で死にいたるという
領主?が無事なものを城内に集め、外と内とを隔離した
内のものにとっては、外のことなどどうでもよく、毎日享楽に浸っている
しかし、それも長くは続かない
ある仮面舞踏会に赤死病格好をした何者かが現れ、内でも赤死病の感染が広がる
この仮面をかぶったものは、外からの怨念の具現化か、
あるいは内の人間の無意識の罪悪からの幻想なのか。
人間の根源的な死への恐怖感・・・
享楽に現実逃避しても、いやがうえにも迫ってくる現実=死への不可避なことへの
メッセージを感じた。
「黄金虫」
早い話が、宝探し。暗号を解読し、宝を掘り当てるという話。
暗号解読だけをとれば非常に単純な謎解きである(今で考えれば)。
しかし最も頻出どの高い[e]を足がかりに[the]を見つけて、どんどん解読していく様子は、
分かっていても、とてもわくわくするだろう。
















