地球の静止する日―SF映画原作傑作選 (創元SF文庫)地球の静止する日―SF映画原作傑作選 (創元SF文庫)
(2006/03/23)
レイ ブラッドベリシオドア スタージョン

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短編集
SF映画原作のアンソロジー

映画のノベライズではなく、原作
厳密に原作にしていないものもあるけど、大体元ネタにはなっている。
どれも傑作で、おすすめ
以下、短編ごとの感想
(『原題』・・・「映画タイトル」となってます)

趣味の問題』・・・「イット・ケイム・フロム・アウタースペース」の原作
レイ・ブラッドベリ
異性人の外見は趣味・趣向の問題
とても友愛なる宇宙人であっても、外見が化け物だったら、相当問題ありですよね
作中の卒倒するくらいのものだったら、とても一緒に住むとかは無理でしょうしね、お互いに
ブラックなユーモアではあるけど、実際はかなり重要なテーマですね

ロト』・・・「性本能と原爆戦」の原作
ウォード・ムーア
核攻撃に混乱する世界と
用意周到、準備万端、逃げる親父
そして、シュールな家族
確かに、最後の日に変な家族と一緒にいたくは無いですよね・・・

殺人ブルドーザー』・・・「殺人ブルドーザー」
シオドア・スタージョン
滑走路の工事に使用するブルドーザー
ある日、どうやらブルドーザーが知恵を持ち、人間を殺しまわっている
それに気付いた主人公だが、仲間には信じてもらえず、逆に人殺しの容疑がかかる
かなり突飛な映画だが、良いB級にはなりそうな展開
実際の映画は残念な結果だったそうですが

擬態』・・・「ミミック」
ドナルド・A/ウォルムハイム
DQで、宝箱に擬態しているモンスター、ミミックですが、これが元ネタでしょうか?
ま、それはおいておいて、人間社会に入り込んでいる人間に擬態した昆虫のお話。
ちょっとどころじゃなく、気持ち悪い。

主人への告別』・・・「地球の静止する日」とくにおすすめ!
ハリイ・ベイツ
本のタイトルになっているお話。
ある日現れた航行船。人類のものではない、入り口がどこにあるかも分からない。訪問者はクラートゥと名乗る者と、ロボットのヌート。しかし、クラートゥが自己紹介した次の瞬間、クラートゥは射殺されてしまう。これは完全に事件であったが、ヌートは危険性判断から完全停止させられる。主人公クリフ(カメラマン)は、航行船を囲むように出来た博物館の中で、停止しあるはずのヌートが動き出すところを目撃する。ヌートは航行船の中に入り何かをしているようだ。ヌートはクリフに危害を加えないようだったが、突如繰り広げられるゴリラとの戦い!(その後ゴリラは死ぬ)、なぜか複製された人間の死体、それら理解不能な光景を目の当たりにするが・・・
ネタバレどうやらヌートはクラートゥを蘇生させるために、録音したテープからの肉声から、その特性に合った身体組成を逆算して作り上げ、復活させようとしていたらしい。それで、ゴリラや人間などで実験をしていたらしい。だが、失敗。蘇生させてもすぐに死んでしまうのだ。クリフは航行船の中に入ることが出来、生き返っていたクラートゥと出会うことが出来たが、彼はもまもなく死んだ。そしてヌートはこういう『あなたは誤解している。主人は私なのだ』と。
(以下、感想)
ゴリラとか複製されている人間のしたいとか、これはどういうこと?と思うことを最終的に理解できたので、短くても結構面白くなっている。ヌートの絵が浮かぶようだし、情景も浮かぶ。映画のほうも見てみたいですね。

月世界征服』・・・「月世界征服」とくにおすすめ!
ロバート・A・ハインライン
人類が初めて月面に着陸する話
アポロ11号が月に着陸する以前に書かれているので、
若干の軽さがある。
例えば、その場のノリで宇宙船を発射できちゃう感じとか(ちょっと誤解を与えるが)、
月面の着陸方法をその場の判断で決めちゃうとか、
軌道計算の方法を誤解していたとか、
それでも、そういうものを無視すると、
かなりアポロそのもののような月面着陸風景を描けていたのには驚いた。
これぞSF!といった感じだった。

月世界征服、撮影始末記
ロバート・A・ハインライン
メイキングオブ月世界征服
ロケットを表現する、宇宙を表現する、無重力を表現する、
こういったことは小説では簡単だが、現実に映画となるとかなり大変だったらしい。
ピアノ線で釣ったとか、アニメーションを使うだとか、苦労がしのばれるものの、
書いてある文章は、軽くユーモアがあって面白い
おすすめの小説、ホラー
MW(ムウ) (1) (小学館文庫)MW(ムウ) (1) (小学館文庫)
(1995/02)
手塚 治虫

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手塚治虫原作のマンガ、『MW(ムウ)』

この作品は、手塚治虫の中でも相当異色で、殺人描写・性描写などが多い。
また、主人公と神父との男同士の肉体関係など、扱うテーマが異常に重い。
文庫わずか2巻だが、内容は恐ろしく濃かったように思う。

来年当たりに、実写映画化するそうです。
主人公は玉木宏だそうです。

[リンク]
玉木宏が殺人鬼役に!手塚治虫原作マンガ「MW」を映画化
公式サイト


主人公・結城美知夫は、かなり優秀な人物で、銀行員を務める。
その一方で、裏の顔として、人殺しをなんとも思わない狂人であった。

彼は、過去にMWという毒ガスの影響で、良心を欠如させてしまう。
毒ガスは彼のいた島に撒かれ、
毒ガスの撒かれた島では、彼ともう一人・賀来という男だけが生き残り、他の全ての島民が死亡した。
そして、この物語は、生き残った男二人を中心に進んでいく。

主人公がかなり悪徳で、良心の欠片も無い。
どうやらピカレスク(悪徳)漫画という分類が存在するらしく、この漫画もこの悪徳漫画の領域に存在する。
近年のデスノートが、それでもまだ良心などを持っていたのと比較しても、この主人公の非道さはかなり大きなものがある。殺人に対して恐ろしく冷静で、淡々とこなす。まさに狂人。
しかし、なぜだろうか、彼には惹かれるものがあった。それは、漫画でも描かれていることだが、真正なる悪というものは人を魅了するものかもしれない。そういう部分の危うさなども含めて、かなり名作であった。

賀来は、事件後、神父になる。良心の欠如した美知夫の罪を懺悔するためであろうか。
しかし一方で、美知夫(男)と肉体関係を持つ。
そのことに悩むが、それでもやめられない矛盾を抱え込んでいる。
彼は主人公・美知夫と非常に対照的である。
彼の作品での存在価値は、主人公・美知夫がかつて島で置き忘れてしまった良心というものの具現化ということであったのだろう。
それぞれの人々が持っているであろう、残虐性の象徴・美知夫と、極めて矛盾する良心の象徴・賀来。これはかなり短絡的な見方にはなるが、こう見ると悪と良心は互いに求め合うものという解釈も出来て面白い。

ただ、良心は悪に対して、非常に脆い。

賀来は単純な良心ではなく、主人公の犯行を幇助するなど、まったく善寄りな人物として書かれているわけではない。
主人公と違う点で言えば、彼には罪悪感が存在するということだけであろう。
それでも、彼は主人公の暴走を止めようと奮闘し、主人公に対立する立場にいる。
彼は自分の立場と主人公に対する想いなどの間で激しく苦悩する。
人間味のある部分は彼が全部持っていっている。

面白かったので、映画化は期待。
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