玩具修理者 (角川ホラー文庫)玩具修理者 (角川ホラー文庫)
(1999/04)
小林 泰三

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玩具修理者
小林泰三

 短編『玩具修理者』。生物と無生物の区別なく、何でも修理してしまうという『ようぐそうとほうとふ』。彼は一旦すべてをバラバラにして直すんだけど、色んなものが直す過程で混ざってしまうらしい。この話は彼女と私の会話で進行する。彼女は子どものころの彼女の話を始める。その話の中で、玩具修理者である『ようぐそうとほうとふ』が登場する。平仮名というのが一つの異質感を漂わせているが、このあとの、より一層異質な雰囲気が描かれる。喋り方が気だるいが気にせずどんどん読みましょう。
 よく子どもがが死んだからおもちゃと同じように修理してもらう、といった話(が本当にあるかはおいておいて)を聞いたことがあるが、この作品はそういった物事を丹念に書いたモノと言える。態々そこを書くというところの目の付け所が違うが、それ以上に日常じゃないところの異質感を際立たせた作品だ。特に彼女の描写は異質、非現実感が漂う。
 彼女は弟と階段から落ちて、弟は死亡し、姉は顔を大怪我する。彼女はそれこそ物凄いケガだったんだけど、平然として冷静に玩具修理者の元にいこうと考えている。そして死んで腐臭を放ち朽ちていく弟を抱きかかえながら玩具修理者の元へと連れて行く。この描写の気味悪さは玩具修理者という存在以上に異質である。腐っていく弟を抱え、さらに自分のもケガで剥げて行くのを平然としているこの娘は一体!?てな感じだ。玩具修理者が霞むくらいの描写だ(恐らく題名はフェイクだ)。最終的に弟を修理してもらうわけだが、姉のほうも実は修理されていて、片目が猫の目と言う。そして、弟と言うのが目の前で聞いていた「わたし」と言うわけだ。これがオチ。ホラーよりもグロテスクな印象でちょっと嫌だが、オチの小気味よさがあった。生物と無生物の違い云々の語りは正直、煙に巻かれたと言う感じ。読了感は短いながらも良かった。

 小長編『酔歩する男』。まさか時間SFだとは思わなかった。それもちょっと異質なタイムトラベル。ホラー文庫だけにある種の恐怖も同居した時間モノである。
 男は時間を感じる器官を欠損させたために、時間の流れを感じることが出来なくなってしまい、意識は過去にでも未来にでもランダムに行き来してしまう。過去に行けば、例え未来に行った事があったとしても、変更してしまえる。未来で行った行動はすべて無価値であり、未来予測も過去の行動しだいで変わってしまうので不可能。そして、何度も同じ日を全ての条件を変えて繰り返してしまう。本人の意思とは無関係に。本文では未来が定まることを波動関数の収束、その逆が発散と表現していた。それはシュレディンガのという有名な話で、観測した瞬間にいくつモノ可能性は一つの物事に収束し、決定してしまうと言うものと同じだ。彼は過去に飛ばされたると、未来の波動関数は発散し、未来の努力も水の泡となる。それは無限に続き、幾度もの人生を繰り返さざるを得ない状況である。恐ろしい。永遠の意識=不死という恐怖感、そして過去にいくら努力しても、再び波動関数が発散すれば、全て無駄になるという虚無感。前半はだるいが、後半のこの描写がとても良い作品だった。
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デジャヴデジャヴ
(2007/08/03)
デンゼル・ワシントン. ポーラ・パットン. ヴァル・キルマー. ジム・カヴィーゼル. アダム・ゴールドバーグ

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 デジャヴと言いながら、実はSFもの。ごちゃごちゃした説明抜きで、タイムトラベルものです。そういう意味では凄く面白かった。ま、俺時空系好きだし。

 船爆破犯人を追う主人公ダグだが、そこで特殊監視のチームに誘われる。そこでは4日前過去の映像を自由に見ることの出来る装置があった。実は、タイムトンネルが開いていて、そこを覗いていると言う。犯人を追うためには非常に有用なツールだ。しかも見るだけでなく、過去に物を送ったりすることが出来る(ことが後に判明)。色々ツッコミどころの多いが、見ていくうちにハラハラしてくる展開は面白い。車で逆送したり、ぶっ飛ばしたりするのは、やりすぎだろと思いつつも、そこはスルーで視聴を続ける。

 爆破事件直前に殺された女性が関わっていると見たダグは、彼女の足取りを調べるうちに犯人を特定することが出来た。そして犯人を捕らえることに成功した。しかし、殺されてしまう女性を救いたい彼はタイムトンネルを通過し、過去に行くことを決意する(命がけ)。過去に行ったダグは(別の時間軸と言ったほうが正しい?)、その時間軸上で彼女を何とか助けることに成功し、船の爆破も阻止する。しかし、彼自身は命を落としてしまう。ダグの死に悲しむ彼女だが、そこに近寄ってくるのは、この時間軸のダグ。過去を変えたことで、ダグのいた時間軸と、この時間軸はまったく別のものとなっているということね。別時系列のダグが死ぬと言うところになんと無いむなしさを感じる。でも、いいオチだ。

★★★★★★★★(7)
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