ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)
(2002/07)
岩井 志麻子

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ぼっけえ、きょうてえ
岩井志麻子

「ぼっけえ、きょうてえ」とは、岡山の方言で「すごく、恐い」と言う意味だそうだ。
「きょうてえ」は「恐てえ」と書くみたいだ。
その題名のとおり、岡山を舞台にした恐い話が展開される。
作者自身も岡山出身でもあり、他の作品でも岡山を舞台にしたものが多いらしい。

4つの短編で構成されていて、
どの物語も、時代背景は大体明治ごろで、岡山の貧しい寒村が舞台となっている。
そうした時代と場所で、日本人として忌み嫌うであろう忌まわしい風習が展開される。

ホラー系としては、割とおすすめとして出てくる小説であって、読むべきだろうことは読んだ後にも思った。
ホラーと言うか怪談といったほうが良いだろうか、和風な恐さだ。
短編で簡単に読める良さもある。
方言を使ったのも、会話の生な感じがしてリアル。
作者の持つリアルが岡山にあって、それがにじみ出ている感じだ。


ぼっけえ、きょうてえ
遊女が話をするという体裁で語られる自身の身の上話
恐い物好きなら、読むべき面白い作品。情景を浮かべると恐い。
遊女になる前は、極貧の中、母と堕胎の手伝いをしていた。
彼女に双子の姉がいたが・・・
ネタバレ
彼女の姉は、人間の姿でうまれては来なかった。
姉は妹の頭に顔だけがくっついているだけの存在であった。人面痣みたいなものだ。
その情景は、恐ろしいものがある。
しかも彼女らの両親は実の兄妹(姉弟?)であるという事実が明かされる。
実の兄妹の子は奇形児というのは迷信か?
だが、そういうものの不吉なものを呼び起こす。
目の前のそうした事態は読者とリンクし、現状で起こっているかのごとく恐怖が募る。

最初の短編としてのパンチ力は大きい。
意外性も兼ね備えていて、恐い。
京極さんも言っていたが、読者に語りかける形態が、
恐怖のありようとして面白い。
おすすめ

密告函(みっこくばこ)
コレラ(虎列刺)の流行により、感染者を密告するための函が用意された。
ハコの中身を回収し、実際にコレラかどうか調べる仕事を担わされた男が、
言った先の女に魅了されてしまう。
しかし、それをしっていた妻は静かな怒りを行動に移し・・・
バレせっせと、感染した魚を夫に食わせるのだった。

あまぞわい
漁村に嫁いだ女の話
自分の期待していた夢と、現実とのギャップに苦しむ女と男
それは昔聞いた尼と海女のあまぞわいを感じさせる
ここまでいくと恐いとかではなくて、男と女の不幸みたいな話になる
舞台が古い漁村となると、雰囲気は完全に怪談話なんだけどね

依って件(くだん)の如し
極貧の兄妹の話。兄は日清戦争に参加。
その最中、殺しがある。その犯人に気づく妹であるが・・・
妹は暖炉を恐がり、死んだ母親と牛をシンクロさせているが、
その真相はラストに語られる。
バレ
兄と母親が暖炉で、していたことを目撃していた妹。
その光景は、牛そのものであった。
さらに妹は兄の子供でもあると知る。



解説は、京極夏彦
読み終わってはじめて気づいたw

おすすめの小説、ホラー
水木しげると鬼太郎変遷史水木しげると鬼太郎変遷史
(2007/05/25)
平林 重雄

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水木しげると鬼太郎変遷史
平林重雄(関東水木会)

”鬼太郎”といえば、日本で知らないはいないほど有名なキャラクターであるのは、言い過ぎではあるまい。
だが、それがマンガ以前の貸本の、その前の紙芝居から始まったということを知っている人は少ないはずだ。

いまや、アニメはもちろん、実写映画化も果たし、墓場鬼太郎ですらアニメ化するという一種の鬼太郎ブーム(?)とすら言える。
アニメの墓場鬼太郎は、自分も大好きでDVDを買おうと思ったほどだ(これはすごい笑)

そうした中で、鬼太郎の面白さ、水木漫画の魅力と言うものは分かってきたのだが、
ここでひとまず、鬼太郎の全体像、その変遷を見るということをやってみた。

というのも、正直ゲゲゲの鬼太郎と墓場の鬼太郎とか、何がどうなって出来たのかと言うことを知っておいたほうが、これからの読書に必要だと思うからだ。
まあ文庫が出ていて、ある程度は古本を探す必要もなく便利なのだが、とりあえず3時のおやつよりは大好きな水木マンガの一ファンとしては、知らずにはおれないはずだ。

さて、ここに関東水木会という奇妙な会がある。
水木しげるを研究するファンを標榜する人たちの集まりで、京極夏彦もいるとかいないとかの団体だが、胡散臭さで言えば、ねずみ男に勝るとも劣らない。

この本は、どうやら関東水木会の人が書いているらしい
年表まで書いているあたり(しかも総ページの5分の3くらいが年表!)、水木好きすぎだろうと言わざるを得ない。

このあたりは、水木さんの自伝マンガでも読むとなお一層面白いかもしれない。

とにかく、鬼太郎は様々に変遷していて、
書き直し、やり直しは何度もあって、設定がそれぞれ違っていたり、
別の人が書いていて、お話もキャラクターも全然違っていたりと、
千差万別なものになっているようだ。

鬼太郎の誕生シーンも色んなパターンやら、あるらしい。
鬼太郎の隠れている目も左だったり、右だったりだとか。

初期の鬼太郎(墓場鬼太郎)は、極貧の中仕事を見つけるエピソードが多く、
(それは水木先生の暮らしぶりからくるところでもあるのだが、)
社会に対して皮肉めいた、非常に人間味あるキャラクターであるのがいい。
正義のヒーローではなく、単純に悪ガキの側面が強いので、面白い。
それが正義のヒーローに変遷していったり、青年化してどっか現代っぽくなっていく変遷は、
時代とともに描かれてきた鬼太郎だからこその変遷であって面白い。
(野球モノの鬼太郎?もあるとか、なんだそれ)

ただ、ねずみ男はその中でも常にアウトサイダーにいるキャラクターで、相変わらずいいキャラクターしている。
水木先生も大好きなキャラクターみたいで、他の漫画でもたびたび登場する。

水木ファンは読もう。
あと、マンガの歴史とか好きな人も読もう。


おすすめの小説、ホラー
山椒魚戦争 (ハヤカワ文庫SF)山椒魚戦争 (ハヤカワ文庫SF)
(1998/12)
カレル チャペックKarel Capek

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山椒魚戦争
カレル・チャペック


ロボットと言う言葉を発明したことで有名なカレル・チャペックの名作SF・山椒魚戦争!
山椒魚という響きが何とも滑稽な題名だが、人類社会全体に目をむけた作者の社会批判的かつ哲学的な作品である。
時代としても、ナチスが台頭した時代のチェコの作者なので、そうした背景を考えながら読むと、いろいろな批判や皮肉が織り込まれていて面白い。

何故山椒魚?って思うけど、作者が好きだったことや、西洋に山椒魚の存在が紹介されてた背景もあったとか。
しかし、あのどんくさい動きと、ぬぼーっとした顔つきのどこに、知的なイメージがあるのかさっぱりだ。
読んだあとだろうが、さっぱりである。
しかし、この作品では、人類を脅かすほど知的で活動的な生き物として描かれている。
最終的には、天然記念物が聞いてあきれるほどの数(人類の10倍)になり、
人類は山椒魚に大地を一部沈められたりするのだから、恐ろしい。
まあ基本的にメタファーみたいなものなので、特に真剣に考える必要もないかも。


この『山椒魚戦争』は、反ユートピア小説の形態をとっている。
人類が使役していた山椒魚に、最終的には乗っ取られ支配権を剥奪されてしまう物語なのだ。
だが、それは人類が自分たちの利益のために山椒魚を奴隷にし、増産してきた自業自得の結果であり、
そこに人間の救われざる性というか、悲劇的に愚かな部分を照らし出していて、痛烈な批判にもなっている。

これはよくあるロボットの氾濫だったり、フランケンシュタインみたいな物語と同等と言えなくもない構成だ。
最近読んだ中で、『日本アパッチ族』という小説でも、虐げられていた人が鉄を食う人類に生まれ変わり、彼らの増殖によって日本社会が変質するという話があったが、それに似ている。

これらの作品は、人類社会におけるブレーキの機能を果たしていると言える。
つまり、アクセルしかない欠陥品の社会に、そのままではカーブに差し掛かるとき、曲がりきれずに事故を起こしてしまうところを、ブレーキでうまく方向転換させてくれる作品なのだ。

そういう意味では、今でも面白い作品であるし、ふつうに古典的なSFとしての魅力もあった。
少なくとも、題名で忌避するのはもったいない作品かもしれない。

山椒魚が三度の飯より大好きな人は、一も二もなくこれを読むべき!

おすすめの小説、ホラー
ピアノの森 [スタンダード・エディション] [DVD]ピアノの森 [スタンダード・エディション] [DVD]
(2007/12/21)
上戸 彩.神木隆之介.池脇千鶴.福田麻由子.宮迫博之

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ピアノの森
一色まこと


漫画は好きで読んでんだけど、映画は見に行かなかったので、
DVDで見てみました。

ファンとしてはもちろん面白かったには面白かったけど、
映画としての盛り上がりとかが微妙な印象
最後のコンクールが盛り上がる場所という想定なんだろうけど、中途半端な印象。
漫画で連続して読んでいったり、テレビアニメ化して見た方がいい作品だと思わざるを得ない。

やっぱ映画は、映画として完結しないと駄目みたいだ。
パッと何かが始まって、ババっと山があって、ダダダダダと終わる感じとか。(?)
特に、アニメだとお子様率は高くなるだろうから、余計そういうつくりじゃないと駄目だったんじゃ?


声のほうは、違和感無く聞けました。
たまにタレントの起用を駄目に言う人がいるけど(声優業界の人が言うのは分かるが)、
そういうの気にしないたちでもあって、なにも不満は無かった。
特に、阿字野の声が宮迫だったとは気づかなかった。
全く全然1ミリも思わなかった。宮迫すげーw
上戸さんは最初から知っていたので分かったし、
神木くんはまんまなのでもろにわかったんだけど・・・
さすがに想定の範囲外だったよ・・・
声とかは全体的に他の人も違和感無なく聞けました

ピアノの森が好きな人には是非
見てない人はコレを入り口に、って感じの映画


おすすめの小説、ホラー
青の炎 (角川文庫)青の炎 (角川文庫)
(2002/10)
貴志 祐介

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青の炎
貴志祐介

静かな激怒が、ひたひたと心を満たしていく。それは、今までの、真っ赤な炎のような怒りとは、異なっていた。秀一の脳裏にで輝いたのは、鮮やかなブルーの炎だった。最も思索を表す色。だが、その冷たい色相とは裏腹に、青の炎は、赤い炎以上の高温で燃焼する。


倒叙ミステリというカテゴリに入るらしいが、犯罪小説といったほうがいいような気がする。
といっても、その辺のカテゴリの定義やらは曖昧なので、個人個人の趣味の問題になるのだが、
ミステリと言う枠に強引にはめ込まなくても良いじゃんという部類の小説。

一人の少年(高校生)が、家族のためとはいえ、人殺しの完全犯罪を企てる。
彼は現代ならではと言ったインターネットや様々な周辺機器、知識を用いて周到に計画を練る。
法医学書まで持ち出して入念に、実験まで行って、殺人を実行する。
一見完璧に思えたのではあるが、思いもよらない失態や殺人を犯した罪の重さがのしかかる。

さすがに、中学生ではここまでできんだろということで高校生なのだろうか。
というのも、そこまでするんだ、と思うほどいろいろ試行錯誤しているのだ。
例えば、身元がばれないように、私書箱まで使ってたり、
法医学書を態々購入して、読破してしまうなどなど。
作者の犯罪思考実験みたいな小説ということなら、そういう面での思考錯誤はいいのかもしれない。

ただ、そういう反面
殺人計画にいちいち『電撃作戦(ブリッツ)』とか名前を付けているあたりは、高校生的(?)だったり、
殺人も敢えて『強制終了』と呼んでいる。
さらに作中で頻繁に授業で習ったであろう「国語」や「物理」の内容も出てきたり、
心象描写や殺人計画に使われたり、使われなかったり。
「山月記」とか「こころ」とか、国語の時間に習ったことがなつかしい。(これに世代的なギャップはあるのか?)
ジュール熱とかも、聞かなくなって久しい。


人殺しは当然悪いことなのだが、
前半の殺人計画を練るところは、(語弊が多分にあるが)ワクワク感がある。
人一人をバレることなく完全に殺すことが出来るのか・・・
倫理的には最悪だが、そういう犯罪がばれるかばれないかの知的合戦が犯罪の醍醐味だったりするわけで、ここはミステリの救われざる性である。
そういう面で面白さもあった。

さらに、やっぱりというか、完全犯罪なんてのは大体が不可能である。
それは小説と言う体裁からしてやっちゃいけないことでもあるが、
人間の想像力の限界だったり、所詮は机上の空論で、ほぼ100%無理です。
で、警察も馬鹿じゃないから、主人公も追い詰められる。
そうしたやり取りが最後にあるわけだが、
読んでるほうは主人公に感情移入しまくってるわけで、
ああやばいやばいってのがジワジワと伝わってきて、ものすごく怖い
恐怖がリアルに感じる
ミステリで犯人が探偵とかにジワジワ攻められてくる感じを疑似体験できる。
恐怖を感じるのは多分、純粋にばれるということでもあるが、
やはり幸せな日常が壊れてしまうと言う恐怖が強いからだろう。
そして、それはそういう方面の日常性をこの小説がもっているおかげだと思う。

普通(?)の高校生の持つ、平和な日常と殺人という非日常性のギャップの大きさが
恐怖を生む大きな力を生んでいる気がする。
(俺はどーしてもホラーにしたいのかな・・・笑)
面白かったですよ。
主人公の心理やその他諸々が凝縮されていて、読み飽きることも無く一度に読めたから。
黒い家』よりも小説的にはこちらのほうが上だと思う。


ちなみに、
最後のオチは、正直やめてほしい
トラックの運転手がね・・・迷惑なので


そういえば、嵐の二宮君が主演の映画にもなったような・・
一度見てみようかと思う。

おすすめの小説、ホラー
2008.12.04 都道府県大戦
都道府県大戦(フラッシュゲーム)

http://suznooto.com/flash/TDW.html

信長の野望を髣髴とさせる陣取りゲーム
単純だが、面白い

2回しかクリアしてませんが、

戦略覚書
・都道府県を選ぶ(九州が一番やりやすい)

・まず、いきなり隣の県を攻めて2国に。(上から順番に行動を決めるので、順番きてない県には楽勝で勝てる)

・剣玉を優先的に量産(ただし槍玉までのつなぎ)

・序盤は兵玉研究所を優先的に配置、MAXを目指す

とにかく槍玉を量産する

・忍玉も便利(主力ではなくサポートとして)。

・お金に余裕が出てくれば騎玉を量産


戦術覚書
・基本は、火の術。即効攻略

・持久戦なら水も便利。使うタイミングが難しいけど。

・防衛では、県壁+弓兵がいい(敵が二正面になったとき片面を防衛に徹する場合とか)

・基本戦術:槍玉(or騎玉)で前衛部隊を止め、全力で撃滅。忍玉は中距離から攻撃。前衛部隊が弱体化したら、槍玉、忍玉で敵に突進。狙玉は自由に。

・大玉がいるときは、風の術

・最後の敵には、大玉(多すぎても微妙)+騎玉(主力)+狙玉で勝てる
・最後の敵(ボス)には、まず前衛部隊を倒す(火の術で速攻倒してもいい)。その後(火の術使ってないなら、マヒさせて)後ろのボス以外の敵を倒す。あとはボスを囲んで全力で叩く
・難しいなら、何回もぶつける(まず、前衛を消すのに全力を尽くし、次に後ろを倒すと言った役割を変えて投入する)


おすすめの小説、ホラー
読み忘れ三国志 (小学館文庫)読み忘れ三国志 (小学館文庫)
(2007/11/06)
荒俣 宏

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三国志大好きな人にはもちろん、
読んだこと無い人もこれから読もうとする人にも面白い内容になっている

小説や漫画で一度見た程度で、
そこまで深く知っているとは言いがたい自分にとっては、
知らない内容や、三国志の出来事の再解釈があって面白かった。

三国志と言えば、なんだかんだで諸葛孔明の活躍になっちゃって、
もちろんこの本でも大々的に取り上げているけど、
諸葛孔明以後の三国志のありようなんかも触れてある

豆知識として、諸葛孔明がブス専(?)であったこと(不細工だけど頭のいい女性と結婚って意味ね。昔の感覚だから今見ると美人かもねw)や、その直系は滅んでしまったこと。
諸葛氏の一族は、それぞれの国に分散して、互いに戦争しあっていた現状とか(そういう人ってたくさんいそうだけど)

孔明の数々のマジカルな行いは、安倍晴明のような陰陽師みたいに天文からの知識としてあったもので、非科学的なものではないこと
ライバルの司馬懿も同様の人であったこと

割とオーソドックスな切り口もあるが、
女性や武器、宗教、官職名など気づかないところに気づかせてくれる、
痒いところに手の届く知識を乗せてくれている。
三国志時代の日本での、卑弥呼さんの話まであったりw

正当な王朝の性質が、木火土金水の順にならないといけないとか、
黄巾賊は、漢王朝の水からのものと逆の土のイメージ(黄色)で、
逆順の木土水火金なので、革命的なものとして最適だったとか、
そういう方面での詳しい話が、初耳で面白い。
さすが、荒俣さんというか、見方が変わる。

おすすめの小説、ホラー