世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)
(2006/10)
歌野 晶午

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誘拐殺人事件が連続する。被害者は子ども(小学校低学年くらい)で、皆銃で殺害されている。そうした事件がテレビでにぎわせている中、この本の主人公である富樫修は息子・雄介(小学校高学年)の部屋で、被害者の親の名刺を発見する。疑念を抱いた修は、部屋を調べていくうちに、2重底になっている引出しから銃を発見する。

修は疑念を晴らすため、様々に調べてみるが、疑念は晴れない。それどころか、息子がこの連続誘拐殺人の犯人だという疑念を次第に確信するに到る。99%息子は人を殺した。そうした精神の中で、様々な事象を思い浮かべる。

以下、内容に関すること
おすすめの小説、ホラー
作中では、修のいくつもの想像(妄想)により、話が展開。その妄想一つ一つに様々な決着を見る。どれもが、暗鬱としたものではあるが・・・。

こういう展開はサウンドノベル(例えば、かまいたちの夜とか)のようなマルチエンディングなゲームを連想した。しかし、どれも正解とも不正解ともいえない。作中で正解は提示されないからだ。結局、雄介が犯人なのか、そうでないのか、読者にも全くわからないのだ。最終的には、修はパンドラの箱に最後に残った希望を胸に、この事件の真の結末への心の準備を行うのだった、というオチになる。まあ、これはこれでアリではある。内容的に、ミステリと言えるかもしれないが、既存のミステリとは違った方向の小説であると感じた。前半の息子が犯人かどうか自分で調査していく部分は探偵小説ぽかったので、ミステリだろうと読んではいたが、読後はミステリ?と言う感じだ。解説読む限りでは全くの新発想と言うものでもないようだが、自分としては読んだこと無かった小説。読んでいて損は無いと思えた。

夢オチだからだろうか、急転直下な展開!で、笑わずにいられなかったのだが、そうした驚く部分が多くあった。夢と言うより妄想だから、いうなれば妄想オチか?2回やられて、3回目はさすがにやられんだろと思ったが、やられた。だって望んだような展開だもの。そうだといいなってね。騙されるのはメインなのか、しかし故意的にやっているのは確かなようだ。

4回目以降は夢オチ前提の構成だし、書き手としては相当上手い気がする(少なくとも自分は、この作者に対しては凄くいい読者であると思えるw)。4回目以降はどんな馬鹿でもわかるので、それを逆手にとって、「いやいやそれは違う」と言って妄想を途中で変更するなど、面白い要素も態々入れてある。

500ページは割りと太いほうだが、苦痛なくここまで読めた小説だったので、凄く良かったのだと思う。まあ、ちょっと現実逃避したい時期だったから、というのもあるかもしれないけど。お勧めはしたい。

アマゾン的に言えば星4つくらいはあったかな。
やはりというか、なんというかアマゾンでは賛否両論といった感じだ。
確かに読者としては、はっきりとしたオチを書いてもらいたいというのは分かる。でも星1はないさ。いくらなんでも。こっけいで無理やりなオチが付くより100万倍もいいだろうよ、と。
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