盗まれた街 (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2) (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2) (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2)盗まれた街 (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2) (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2) (ハヤカワ文庫 SF フ 2-2)
(2007/09/20)
ジャック・フィニイ

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盗まれた街(THE BODY SNATCHERS)
ジャック・フィニィ/福島正実訳

 の人々が密かに者に取って代わられ、次第に街全体が別のものに変わっていく恐怖を描いた一作。侵略SFの一種と言える。だが、次々知っている人々が別の存在に変わっていくと言う恐怖感はホラー作品と言ってもひけを取らない傑作となっている。

 舞台はアメリカの西海岸沿いの街サンタ・マイラ。あるとき、医者であるマイルズは、自分の叔父が偽者だと言い張る患者に出会う。それは外見、仕草、記憶など全く代わったところは無いが、何かがかけていると言う。それは表面上の仕草で笑ってはいても目の奥底に光は無く、感情が感じられないと言うことだった。それを契機としてか、親類を偽者と感じる人が増え始めた。そんなとき、マイルズは友人のジャックからおかしなものを見せられる。それは人間のようなものであり、不自然且つ不気味なものであった。そして、これこそが街の人間と入れ替わっていたものと次第に気付いていく。それは、植物のに似ているものから、人間の脳波や細胞からの放射から形と記憶を読み取り、完全なる複製を作り、本人と入れ替わると言うものだった。
 
 宇宙人が全面的に侵略してくるものというものが一番分かりやすいが、こういったじわじわな侵略モノというのも侵略SFのなかでの系譜としてはあるようだ。有名なものでは『光る眼(呪われた村)』でしょうね(これ読んだこと無いんだけど)。侵略と言うのは、何であれ恐怖以外の何者でもないですが、それが人間ではなく、未知の生物(=異性人)というのが一層恐怖を感じる。それが、明確な形で(例えば大軍団を連れてくるとか)、そういうのであれば人類一丸となって戦えばいいという分かりやすい構成ですが、今回の作品のようにジワジワ系だとどうしようもない感が大きい。侵略に気付いたとしてもどうしようもないような無力感と、他の人に言っても信じてもらえない取り合ってもらえないという孤独感なり、戦って勝てると言うわけでもなく、目的も喪失するようなどうしようもなさ、というのがあります。それが本作では濃厚で、街で次々と入れ替わることに対して主人公たちは無力。もはや逃げる以外に道が無い。こういった部分をまさにジワジワ書かれているのが本作が名作と言われる所以であろうと思われます。
 
 最後に街を脱出する部分の緊張感も、それまでのこうした緻密な描写や非人間的な「」に対する恐怖感によるものだろうと思える。傑作だ。

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