2007.09.09 うずまき
うずまき◎伊藤潤二

↓なぜ絵がないのか
うずまき うずまき
伊藤 潤二 (2000/03)
小学館
この商品の詳細を見る


はじめに言っておきますが、私はこういうのがたまらなく好きです。
でも実は、あまり読んでなかったりします。読んでも、雑誌とかでしか読んでない気がします。
知る人ぞ知るみたいなところがあり、世間的にもメジャーからはほど遠いと思います。本との出会いとしては遅かったですね。今頃だし。

今回はそういうのもあって、かなり1ページ1ページをじっくり読めて、新鮮で面白かった。(僕が読んだ本は、3巻分の合本なんで、かなり分厚い。その分、読みごたえとしては、かなりあった。)

この本のタイトルは「うずまき」ですけど、これを最初に知ったのは、実はレンタルビデオ店なんです。実写の映画?ドラマ?です。映像化が既にされていたんですね。もちろん漫画が原作です。で、そっちのほうは見てないんですが、逆に見てなくてよかったかもしれません。

この漫画は、黒渦町といういたって普通な町を舞台にしてます。その町が、次第にうずまきに飲み込まれていく様を連作短編の形で、最終的にかなり凄い展開になってます。それでも、なんとなく受け入れてしまうこの雰囲気が凄い。

短編通しての主人公は同じ。命の危険があったり、ありえない状況に遭遇したり、大変に日常!をすごしています。それにしても、よくこんな町から逃げないよ、って思う。

この漫画の凄いところをあげると、まず発想としての「うずまき」でしょう。うずまきが怖いなんて、多分考えたこともない。考えてた人がいたら、それは、、、変人だね(笑)。
とにかく、この作者は日常にあるものに対する観察力なのか想像力なのか、はたまた妄想力なのか、見るところが違いますね。普通の人とは違う感性を持っているなと思う。

さらにこの漫画の要素として、描写が生々しいと言うか、妙にリアルで気持ち悪い。人間カタツムリなんて、よくこんなのが描けるなと思う。
しかも、それを焼いたり、食べたり。トラウマものですよ。
この人の絵というのは、恐怖よりも先に嫌悪感と言うか、生理的な部分での拒否感というものを本当に見ていて感じる。個人的に「鬼のいる長屋」は、一番絵的に気持ち悪かった。それでも、それを含めて面白いと思う自分は変人だろうか。

映画とかゲームとかも音による恐怖の演出はやっぱり大きい効果をもたらしている。その点、漫画って音がない分、映像よりも恐怖感の演出と言うのが、絵を中心としたものになりがちである。けれど、この漫画は、それを逆手に取って、絵としての気持ち悪さと言うものを大きく生かした作品であると思う。もちろん、これは作者の一連の作品に共通しているように思える。

そして、気持ち悪さはしだいに、自分がその気持ち悪いモノへの同化という恐怖へと変わる。例えば自分がカタツムリになってしまい、食べられてしまう恐怖などが、その恐怖の対象となりえている。
こういう漫画ホラーとしての怖さを体感させてくれる作品がこの「うずまき」であると言える。
一度お試しあれ。
おすすめの小説、ホラー
Secret

TrackBackURL
→http://nekokairo.blog72.fc2.com/tb.php/66-8981491e